北欧のデンマーク・デザイン(hygge)
古く伝統的な建物の街
やかわいい公園の遊具、カフェ、ビンテージの家具など、街全体が美術館や博物館のような雰囲気です。
車社会の日本人と違い、街を歩く事が多いので、自然に素敵な色彩やデザインを見る事になります。
その影響を子供も大人も老人も受けます。
そして、歩き疲れるとオシャレなカフェに入りそのスタイルも素敵な風景になるのです。

デンマークは「ヒュッゲ(Hygge)」と呼ばれる、居心地が良く心温まる暮らしを大切にする国です。
ヒュッゲの精神は、日々の生活に安らぎと幸福感をもたらすことを重視し、家族や友人との時間を大切にします。
キャンドルの灯りや暖炉の火を囲んで過ごす時間は、まさにヒュッゲそのものです。
この暮らしの哲学は、デンマーク家具のデザインにも色濃く反映されています。
北欧の厳しい冬を快適に過ごすため、家の中での時間を豊かにする工夫が凝らされています。
木材の温かみを生かしたデザイン、丸みを帯びた優しいフォルム、そして無駄のない洗練されたラインが特徴です。
デンマークのデザイナーを紹介

アルネ・ヤコブセン
20世紀を代表するデンマークの建築家であり、家具デザイナーです。
「デンマークデザインの父」とも称され、機能性と美しさを両立させた名作を数多く生み出しました。
彼のデザインは、建築から家具、照明、ドアノブに至るまで一貫した「トータルデザイン」という思想に基づいています。
ヤコブセンの家具の大きな特徴は、有機的で滑らかな曲線です。
特に、彼が手がけた椅子は、体にフィットするような美しいフォルムが追及されています。
代表作の「アントチェア(アリンコチェア)」は、世界で初めて背と座が一体になった成形合板の椅子として知られ、その後のデザインに大きな影響を与えました。
「セブンチェア」は、そのアントチェアを進化させたもので、今なお世界で最も売れている椅子の一つです。
軽くてスタッキング可能という機能性も備え、カフェや公共施設で広く愛用されています。

また、「SASロイヤルホテル」の建築プロジェクトのためにデザインされた「エッグチェア」や「スワンチェア」は、卵や白鳥をモチーフにした独創的なフォルムが特徴です。
これらは、ホテルのロビーでプライベートな空間を確保できるよう、体を包み込むようなデザインになっています。
ヤコブセンの家具は、単なる道具ではなく、空間に調和し、使う人に寄り添う芸術品として、世界中で高く評価されています。

ハンス・J・ウェグナー
生涯に500脚以上もの椅子をデザインし、「椅子の神様」と称されるデンマークの家具デザイナーです。
木工職人として若くしてマイスターの資格を取得した彼は、木の性質を深く理解し、その美しさと強度を最大限に引き出すデザインを追求しました。
ウェグナーの家具は、機能的で実用的でありながら、どこか温かみと有機的なフォルムを持っています。
彼の作品は、余分な装飾を排し、シンプルでありながら洗練された「引き算の美学」に基づいています。
代表作の一つ「Yチェア(CH24)」は、その名の通りY字型の背もたれが特徴で、中国の明時代の椅子からインスピレーションを得て誕生しました。
軽量でスタッキングも可能という機能性と、ペーパーコードの座面がもたらす快適な座り心地が世界中で愛され、彼の最も有名な作品となりました。

また、「ザ・チェア(PP501/PP503)」は、アメリカ大統領選挙のテレビ討論会でケネディ大統領が使用したことで一躍有名になりました。
背もたれからアームにかけての美しい曲線は、まるで彫刻のようです。
ウェグナーは、職人としての技術とデザイナーとしての感性を融合させ、世代を超えて愛される普遍的な家具を生み出しました。
彼の作品は、単なる日用品ではなく、暮らしに溶け込む芸術品として、今もなお多くの人々を魅了し続けています。
クリスチャン・フレンステッド
デンマークのモビールデザイナーです。
1954年に、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの生まれたフュン島で、妻のグレーテと共に自身の娘のために「コウノトリのモビール」を作ったことが、フレンステッド・モビール社の始まりとなりました。
彼は、モビールを「動く彫刻」と捉え、バランス、リズム、そして絶え間ない動きを重視しました。
彼のデザインは、モーツァルトのシンフォニーに似ているとさえ言われています。
フレンステッドのモビールは、余分な装飾を排したシンプルで洗練されたデザインが特徴です。

鳥や魚、象などのモチーフを抽象的に表現し、わずかな空気の流れでも優雅に揺れ動くように、正確なバランスが計算されています。
彼の作品は、単なる室内装飾品ではなく、見る人に安らぎと癒しをもたらすアートとして、世界中の美術館や家庭で愛され続けています。